塾生インタビュー # 57 [09/08/04]

飛ぶ!蹴る!まわる!空中の球技セパタクロー

6月某日、ボールの音が耳に心地よく響く体育館。ジャーナル部員は衝撃をうけた。「人って飛べるんだ・・・」

「『セパタクロー』って耳にしたことはあるけれど、よく知らない。」そんなあなた、損しています!スピーディーでアクロバティックなプレーは圧巻!最近では芸能有名人も注目しているらしいスポーツ、セパタクロー。そんなセパタクローを慶應でやっている人たちがいる!ということで、慶應セパタクロークラブの4年生、平野さん、木村さん、寺田さんにお話を伺いました。


「セパ」はマレー語で「蹴る」、「タクロー」はタイ語で「ボール」という意味を持つ。
3人一組でチームを作り、ネットを挟んで戦う「足でやるバレーボールのようなもの」だそう。本場タイではプロがいるが、日本は現在、セパタクローの転換期。「蹴」-kelu-などのイベントの開催や、芸能人のブログ、テレビ番組で取り上げられるなど、じわじわとファンを増やしつつあるスポーツだ。

「蹴」-kelu-とは
セパを知ってもらう、楽しんでもらうためのセパタクローイベント。 ライブハウスで行われ、メンバーは日本代表の選手たち。MCやDJも参加、渋谷という新しい文化が生まれる場所で、試合を見ながら楽しんでもらうという試み。 http://flyinglegsunion.jp/kelu/

■慶應セパタクロークラブ

―慶應セパタクロークラブの活動を教えてください。

平野:練習は火、木、土の週三日です。場所は武蔵小杉、元住吉の小学校の体育館を借りてやっています。昼休みや日曜日に日吉記念館などで自主練する人もいます。兼サークルやアルバイトも可能です。

―セパタクローを始めたきっかけはなんですか?

平野:高校までサッカーをやっていて、満足できたから一区切りしてもいいかな、と。そんなときに先輩に出会い、セパタクローを知って、衝撃をうけました。入ってみたらメンバーの個性が豊か。人数少ないわりに質が高いなと思って。

木村:新歓でもらったビラに、「日本一になれる」ってあって、行ってみたら真剣に練習に取り組む先輩たちと出会いました。正直なところ、初めは軽い気持ちだったんですが、続けていくうちにどんどんはまっていきましたね。

平野:OBや同期には、大学4年間で日本代表候補まで上り詰めた人もいます。セパは競技人口が少なくて、スタートラインがほぼ一緒だから。

寺田:もともとセパタクローという言葉は知っていました。多分、サッカーをやってる人ならたいてい興味を持つと思います。高校までサッカーをやっていたけれど、どうせなら新しいものをやってみたくて、始めました。

―サッカーをやっていると、有利ですか。

平野:メリットもデメリットもありますね。ボールを蹴る感覚はつかみやすい。でも「蹴る」ことに慣れていると弊害になることもあります。セパは「押し出す」スポーツなので。あと、セパをやったらサッカーがうまくなるという副産物もあります(笑)。

■セパタクローの魅力

―セパタクローの、どういうところに魅力を感じますか。

木村:見ている側としては、派手なプレーがどんどん飛び出すところですね。プレーする側としては、気持ちの一体感が出たときに一気に点が入る、メンタル面の要素がかなり強いところ。日本代表選手と一緒に練習したり、大会で対戦したりできる。マイナーな世界なのかもしれないですが、日本の頂点が見えるところにあるのも大きな魅力だと思います。  

 

 

 

 

寺田:はじめて見る人は空中戦が目にとまると思います。やってみると、さらに魅力的。そこまで普及していない現状があるので、みんな大学から始める。スタートラインが一緒なんです。なので同期や、少し上の人に負けたくないって気持ちが持ちやすい。
サッカーとかだと最初から飛び抜けた選手がいて、なかなか夢を見づらい部分があると思う。でもセパなら「世界」「日本代表」「学生でメダル」という夢が他のスポーツより現実的。そこから自分の目標をしっかり持つことができ、実現できるというのがはまります。

 

 

 

平野:3人という人数かな。3人でやるスポーツって、なかなかないですよね。アタッカー、トサー、サーバーとポジションが一人一人違うことで、自分の役割や責任というのがすごく重くて。信頼関係がないと成り立たないスポーツなんです。サッカーや野球は誰か突出したプレーヤーがいたら勝てるかもしれないけれど、セパは均等な力でチームをのばすことを大事にしないといけない。誰か一人、上手い人がいてもなかなか勝てない。そういったところが面白いです。今までサッカーをやってきたなかであまり身につかなかった考える力、主張するところと引くところのバランス、メンタルも強くなりました。

ポジションがしっかり定まっているのも、セパタクローの面白さの一つのよう。

―それぞれのポジションの魅力について教えてください。

寺田:アタッカーは目立てる(笑)。以前、代々木公園でタイフェスティバルというのがあってそのなかでセパタクローをやったんです。2日間で2万人くるなかで、試合をやった。そういうところでプレーすると、初めて見た人の目にとまる。自分がいいプレーをするだけで、「ワー」ってなるのが気持ちいい。アタッカーの魅力はそこですね。


▲写真左側は、タイフェスティバルでプレーする寺田さん。Photo by Team蹴

 

平野:トサーは玄人向けなところがあります(笑)。ボールコントロールが重要なポジションで、アタックレシーブをとったときは快感です。あとアタッカーのプレーが一番近くで見られるのがいい。フェイントや速攻とかあるので、案外トスでもアタッカーを操れたり。

木村:サーバーは守備位置がチームメート二人の間であり、試合中は中心的な役割を担います。チームを励ますという部分で面白い。サーブが入らないと試合が始まらない、逆に言えば全てのプレーがサーブから始まるので、おそらくどのポジションよりも、試合展開や試合の流れを読む必要があるところも、難しい半面、魅力的なところだと思います。

平野:サーバーはプラスのポイントをすごくとれる、エースをとれるところも魅力だと思います。サーブは人が投げたボールを打つので、連携がすごく大事。トスに関しても、高いもの、低いもの、滞空時間が長いもの、と色々あるんです。一番大事なのは思いやり。次の人がプレーしやすいように考えてプレーします。

■強くなりたい

―部の雰囲気はどうですか?

平野:少ない人数の割にバラエティ豊かなメンバーです。1年生のときから世界を目指す人、現実的な目標を設定し頑張る人。同じチームになるにあたって「できないじゃなくてやる」タイプもいれば、状況を的確に判断して、ここまでとラインを決め、そのなかでどうやって勝つか考えるタイプもいるんです。正反対な考えがあり、ぶつかりあうからこそ信頼できる。試合出たときとか信頼がないといいプレーとかできなくて。本当に、ふだんの練習のときでも、ご飯のときでもセパの話をします。自発的にそういうことをするようになったところが、成長したなと思います。言いたいことは言える。相手も認めつつ。

―課題や、目標はありますか。

平野:強豪は週6日練習をやっていたりするんです。自分たちも量を増やさなければならないかな、と思います。現在は、身体能力で劣るところを練習の効率を上げる方法や課題克服方法を考えることでカバーしています。

寺田: 次の学生大会優勝ですね。あとは色んな大会があるので、色んな人とチームを組んで、軌跡をのこしたいですね。

木村:先輩から受け継いだものを後輩にも伝えて、チームとしての慶應を強くしたいです。常にメダルを狙えるようなチームにしたいですね。

―ありがとうございました!

取材を通して感じたのは、セパタクローへの真摯な思いだ。「大学でセパをはじめたことは自分の中でターニングポイント」と平野さんは言う。「サッカーサークルに入ってもそれなりに楽しい生活を送れたと思うけれど、こんなに充実した生活は送れていないと思う」と。グラウンドや体育館に何かを置き忘れてきた人、ぜひセパタクロークラブへ!

■関連リンク

慶應セパタクロークラブのblog
http://ameblo.jp/keiosepaktakraw/

取材:川畑かほり