東京学生投資連合USIC代表 王シンさん(経済学部 4年)
慶應という学校にいると、時に「すごい人」と出会うことが出来る。彼もそんな人物のひとりではないだろうか。
サークル、インターン、就職活動と、平凡な大学生活を送ってきたようで何かが違う。その一つ一つに隠された、塾生の指標となるべき要素とは…?
これから何をしようかと思案中の新入生、就職活動前の3年生など、今ターニングポイントにある塾生にぜひ読んで欲しいインタビュー。
幅広い好奇心を支える圧倒的なキャパシティに行動力。先を見据える力は感動もの。頭が良いなんてもんじゃない、その魅力を特別にご紹介します!
■パーソナリティ
―まず、王さんの所属しているサークルについて教えてください。
僕は慶應大学の投資サークルSPECで副代表を務めていたんですが、この活動を通してUSIC(Union of Student’s Investment Clubs)という十個の大学の投資サークルをまとめた連合を立ち上げ、現在そこで代表を務めています。
―なぜ、どのように、投資サークル連合を立ち上げたんですか?
立ち上げたきっかけは、一つの大学のサークルの規模だと出来ることに限りがあるため、母体を大きくしたいと思ったからです。目的は単純にもっと株の話や金融の話が出来る人を増やしたかったから。要するに、僕たちが好きなお金や投資をもっと多くの学生に理解してもらってみんなで楽しく話したい、ということです(笑)。そのために大規模な講演会やイベントの開催、フリーペーパーの発行などをしたかったんです。そういう想いで交流会を通じて他大の投資サークルのメンバーに声を掛け、小さなイベントを一緒に企画してみたり、代表者同士で話し合ったり、紆余曲折を経て立ち上げました。
―投資における成功・失敗談は?
成功、失敗ともに色々ありますが、最近うまくいったのは去年の冬に買った繊維メーカーの株ですね。前年度の花粉予報などで2009年はマスクが来る、というのは周知の事実だったんですが、その中で同業他社と比べてあまり株価が上がっていなかった繊維メーカーの株を買ったんです。そしたら豚インフルエンザが流行り出した週に株価が二倍近くに上がって売り抜けました。
失敗談としては、まず僕は投資理念として二つのことを気をつけているんです。一つは自分が本当に理解しているところにしか投資しないようにする、もう一つは損切りをきちんとするということです。ただ、株価がどう調べても理解できない落ち方をするときがあって、そういうとき損切りが遅くなってしまう。自分で決めたルールですけど、なかなか守れなくて。そういうケースを多く経験するのも勉強ですけどね(笑)
―王さんは自分自身のことをどのような性格だと思いますか?
求知心が強く、何かを始めたらとことん極めてやろうという性格、それととても慎重で計画的だと思います。ポケモンも攻略本を全て読みきってからやり始め、151匹集めましたし(笑)。投資に関しても、始めようと思ったらまず本を読んだり先輩や投資に携わる人から情報を集めたりと、知識をインプットすることから始めました。そういえばちょっと話はそれますが、その際に先輩からインプットよりアウトプットの方が重要だという話を伺い、当時はしっくり来なかったのですが、今改めて考えるとある程度インプットしたあとはアウトプットしないといけないと感じます。アウトプットすることで人からのフィードバックが得られ、そこから学ぶことは勉強で得るものより大きいと思います。
―突然ですが、何ヶ国語話せますか?
日本語はもちろん話せますし、僕は中国人なので、家族とは中国語で会話します。英語は…多少ですね(笑)。
そういう持ち上げはやめてくださいよ(笑)。
でも高校生の頃に語学の重要性を感じ、努力はしました。「勉強は重要じゃない」という話をよく聞きますが、それはあくまで本当に勉強したことがある人が言える特権であって、積み重ねは重要だと思っています。
僕は2つの国際交流団体に顔を出していたことがあるのですが、そこでもツールとしての語学の必要性を感じました。まぁ、国際交流にとって語学はスタートラインで、お互いの価値観を認め合うとか、お互いの文化や習慣の背景を知ることとか、その先のことが重要だと思いますが。
■大学生活の中心はインターン
―王さんはインターン活動を色々とされてきたそうですが?
最も力を入れたインターンは、上場企業のIR(※)支援を行う会社での仕事です。企業の社長とアポイントを取り、インタビューして記事にするという作業を月2~3社、約半年間行いました。
―インタビューをする際はどのようなことに気を付けるんですか?
もちろんリサーチは欠かせません。インターネットなどを通じて得られる企業の情報や、有価証券報告書や短信、アニュアルレポートなどには全て目を通しますし、企業のビジネスモデル、事業フィールドについても調べます。完全に理解した上で取材に臨まないと取材になりませんから。
あとは、「事実」と「考え」をしっかり区別して話を聞くことですね。事実は事実であって、想像の入る余地がないよう明確に質問しなくてはならないんです。逆に、相手の考えを聞くときはオープンクエッションでどんどん掘り下げていったほうがいいと思います。
―そのインターンで苦労した点は?
社長さんがなかなか本心を語ってくれなかったことですね。取材に対し緊張しているのか、構えられてしまって、上辺のことだけしか話してくれないことが多かったんです。なんとかそのガードを崩して本音を語ってもらおうと思い、質問の内容や順番を練ったり、食べ物や趣味の質問から主旨につなげていくやり方をとってみたりと試行錯誤しました。
取材中、極度の緊張状態の相手につられて僕自身も緊張してしまい、うまくやり取りが出来なくなってしまったという失敗体験もあります。そのときは一緒に行った仲間に助けられ無事に取材を終えることが出来ましたが、冷や汗ものでした。そこからどうすれば緊張せずに良いインタビューが出来るかについても考えました。
―他のインターン活動についても教えてください。
3年生になって、ベンチャーキャピタル(※)でインターンを始めました。大学の授業があるときは夕方から終電間際まで、授業がないときは朝から夜の8時くらいまで働いていました。
デスクワークからトイレ掃除まで(笑)、ありとあらゆる仕事をしました。
具体的に言うと、リサーチ業務や上司が作った資料のまとめ、インタビューの同行、ミーティング会場のセッティングなどですね。単純な作業から始まって、最後には一部上場企業についてのコンサルティングとその報告書の作成を任されたりもしました。その仕事はなかなか大変で、一週間かけて作ったものを「やり直し」の一言で一から作り直させられましたね(笑)。
どの作業もその過程で学ぶことが多く、価値観や考え方の幅が広がりましたし、このインターンを通して本当に成長できたと思います。
■様々な経験を通して気付いた「軸」
―就職活動に向けてインターンは行いましたか?
はい、1dayのものも合わせると夏は4社、秋は1社ですね。就職活動の最初は幅広く会社を見ようと思っていたので期間の短いものに参加していました。外資系金融でやったM&A提案のコンペティションが印象的でしたね。僕は元々金融が好きでしたし、学生団体主催のビジネスコンテストにも参加したことがあるくらい興味のある分野だったので、3日間のインターンがあっという間でした。あ、自慢ですけど僕のチームが優勝しました(笑)!でも結局色々考えた末本選考は受けませんでしたね。
―ビジネスコンテストというのは?
ShareというビジネスコンテストにSPECのメンバーで毎年参加しているんです。アセットマネジメントコースとインベストメントバンカー(※)コースがあって、僕は後者のIBコースで参加しました。参加するとまずランダムにチームを組まされ、ある企業を指定されます。その会社が買収を行うという前提で、買収先を選定し、買収方法から資金調達までの一連の流れを提案するというコンペティションです。僕自身は賞はいただけなかったんですが、SPECのメンバーが入ったチームが毎年優勝か準優勝させていただいています。身内自慢ですいません(笑)。
―短期インターンを通して就職活動の方向性は定まりましたか?
就職活動に向けたインターンだけでなく、他のインターンやサークルなどこれまでに行ってきた様々な活動を通して学んだことは本当に基本的なことで、「他人に影響されない自分の軸」を持つことの大切さでした。
その上で僕が企業選びの軸にしたのは、将来性の高い専門性が身につくか、海外案件が多いか、自分の働き方に合っているかの3点でした。この観点で探していった結果、本当に行きたい企業は早い時期から2社に絞られて、その2社からは内定をいただくことが出来ました。
就職先として決めた企業では、移転価格(※)のコンサルティングという専門性の高い仕事をする予定です。移転価格はこれからの世の中で間違いなく注目される分野だと思います。
とても楽しかったですよ。様々な人に出会えるし、友達もたくさん出来ました。あと何より、「就活生」という身分はオイシすぎます!興味がある会社には好きなだけOB訪問が出来ますし、会社の重役の方にも会えます。そういう方々は学生にはない価値観を持っているので学ぶことが多いです。人の本心を聞き出すのはとても難しいことですが、「学生」だというだけで相手の心の壁を少し下げることが出来るんです。この立場は大いに活用すべきですね。
―最後に、今後の展望を教えてください。
残りの学生生活でやりたいことは、将来のために計画性を持って勉強することと色々な職業、役職の人の話を聞くことです。あと、何か一つ大学生のうちにしか出来ない楽しいことを仕掛けたいですね。
就職したらまずは、自分に向いている業種を見極めたいです。僕の就職先では最初から5~6個のプロジェクトを掛け持ちするらしいので、幅広く業種を見ることが出来ると思っています。その中で自分の専門分野や税理士の勉強もしていきたいです。
そして行く行くは海外に留学して学位を取りたいと思っています。そのあとは日本に戻る道もあるし、海外の現地法人で働くことにも興味があるし、中国でも働いてみたい…未知数ですね!
―ありがとうございました。
【参考】
慶應株サークル-慶應義塾大学株式投資研究会SPEC
慶應SPECは、「投資を軸にお互いを高めあい、そこで得たものを通じて株のおもしろさを世に広める」ことを理念として活動しております。株に関するプロとの勉強会や社長訪問等、サークルの中だけで完結するのではなく、積極的に社会とつながりを持って活動していくことにより、質の高い経験、質の高いアウトプットを出すことを目指しています。
学生投資連合USIC
『学生投資連合USIC』は2008年2月に「学生の金融リテラシー向上」をコンセプトに10個の学生投資サークルの協同によって創設されました。
USICの現在の活動内容としましては、学生向け金融・投資のフリーペーパーの発行(年二回、累計八万部発行)と大学生向けの金融への興味を啓発する講演会の主催を行っております。
現在、日本では金融教育の不足や株式投資への偏見などが、経済大国でありながら国民の金融リテラシーが低いという現実を作り出しています。私たちは、今後の活動において一人でも多くの学生に金融の大切さを伝え、日本が金融大国となるような基盤作りに尽力していきたいと考えています。
