塾生インタビュー # 59 [09/10/19]

慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団

皆さんは慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団をご存知だろうか?

この夏、文化交流事業でイタリアへの演奏旅行も経験した彼ら。

演奏旅行をはじめ、その活動から合唱団の魅力を解き明かしたい。今回は、依頼演奏会マネージャーでありパートリーダーも務める田川雄一さん(文4年)と、日伊交歓訪問演奏事業実行委員の吉川啓太さん(商2年)にお話を伺った。11月に開催される第134回定期演奏会もチェックしよう!

■高音から低音まで、全て男声で!

―慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団について教えてください。

田川雄一さん(以下、田川):1901年創立の独立公認団体で、音楽学校以外の学生合唱団では日本で最も古い合唱団です。ワグネル・ソサィエティーは男声合唱団、女声合唱団、オーケストラの3つに分かれていて、そのうちの一部門になります。男声合唱団は現在41人で活動しています。

―普段はどのような活動をされているのですか?

田川:定期演奏会と東京六大学でのジョイントコンサート、東西四大学でのジョイントコンサートと、慶應義塾や三田会の記念式典に出演しています。また、義塾内外問わず演奏依頼を受けています。ワグネル・ソサィエティー男声合唱団の定期演奏会は11月28日にあるので、ぜひ聴きに来てください。

―男声合唱というのは・・・?

吉川啓太さん(以下、吉川):男声合唱は声の高さで4つのパートに分かれます。高い音域のパートから、トップテノール・セカンドテノール・バリトン・ベースになります。この4パートで違う音域を歌って音楽を組み立てます。基本的にトップテノールがメロディを歌います。人数比はバラバラですが、トップテノールとベースが厚いと音に迫力が出ると言われています。

田川:下がしっかりと支えて上がメロディを歌うと良いバランスになります。あと、演奏はアカペラと伴奏付きの2種類あって、伴奏が付くときはピアノになります。

―おふたりはどのパートですか?

吉川:僕はトップテノールです。

田川:私はバリトンです。

―話し声からも分かりますね。

吉川:だいたい話し声から想像つきますよね(笑)。でも、話し声と全く違う声で歌う人もいるんですよ。

―そうなんですか!

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▲左:田川さん 右:吉川さん

―男声合唱はどれくらいの高さで歌うんですか?

吉川:トップテノールだと、五線譜の上のドの音が目標になります。でもメインで歌うのは五線譜の一番上の線とその上下あたりです。

―そんなに高い声で歌うなんて大変ですね。

吉川:はい・・・頑張ります(笑)。

田川:日本人は低い声が出づらいので無理矢理低い声を出している人もいて、低いパートも苦労が多いんですよ(笑)。

―他のパートにつられてしまうことはありますか?

田川:よくあります(笑)。バリトンは上も下もいるので、つられないようにする技術が必要ですね。まわりの音を聞かないのではなく、他の音を感じてその間のちょうどハモるところに入っていく、というのが私たちの仕事です。それぞれ役割が違うので、トップテノールはハモるのが苦手だったり、真ん中のパートはメロディを歌うのが苦手だったりするんですよ。

―一回の公演で何曲くらい歌うんですか?

吉川:例えば定期演奏会だと、組曲を4つ歌います。組曲というのは、特定の作詞家の方が書いた詩に曲を付けたものなど、テーマに基づいて組み立てられた曲のまとまりを指します。

田川:ひとつの組曲で1ステージなので、4ステージあることになります。1ステージあたり20~25分がオーソドックスですね。

―そんなに長くてノドはもつんですか?

田川:4ステージ目になるとトップテノールが・・・なんてこともありますね(笑)。

吉川:一番高いところを歌っているのでノドも体力もかなり使うんです(汗)。でもトップテノールが疲れて歌えなくなってしまうとメロディがなくなってしまうので必死に歌うしかないんです(笑)。

田川:トップテノール疲れてるなぁ、って思いながら歌ってます(笑)。

―どんな曲を歌うんですか?

田川:様々なジャンルから男声合唱曲に編曲されたものを歌います。有名なものだと、坂本九さんの「見上げてごらん夜の星を」という曲は依頼演奏でよく歌います。

吉川:「斎太郎節」という宮城県民謡の漁師の歌を男声合唱用に編曲して歌ったこともあります。

田川:「はぁ~こりゃこりゃ」みたいなお囃子が入るんですよ(笑)。

―それはどこのパートですか?(笑)

田川:バリトンとベースですね(笑)。あとは黒人霊歌も歌います。(一節歌ってくださいました♪)

―上手ですね・・・!

■ストイックな練習が生む絆

―慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団には、プロの先生が付いているんですよね?

田川:指揮者とピアノ伴奏がプロの方です。指揮者は、専任指揮者が畑中良輔先生で、正指揮者が佐藤正浩先生です。今回のイタリア旅行は佐藤先生の紹介で実現し、旅行中の演奏会でも指揮を担当してくださいました。

―その先生方がいつも練習で指導をしてくださるんですか?

田川:いえ、練習は基本的に学生中心に行っています。

吉川:先生がいらっしゃる練習のときは曲の解釈や表現を教えていただきます。学生で練習をするときは学生指揮者が全体をまとめています。定期演奏会では、4ステージのうち1ステージだけ学生指揮者が指揮をすることになっているんですよ。

―普段はどこで練習するんですか?

吉川:週3回、放課後に、主に三田キャンパス近くの幼稚園をお借りして練習しています。

田川:3時間程度の練習で、だいだい組曲を2つ練習します。練習中は基本的に歌いっぱなしです。

吉川:おなかいっぱいになるまで歌えますよ(笑)。

―部内の雰囲気はどうですか?

吉川:上下関係はあまり厳しくなくて、先輩方も仲良くしてくださいます。あと、パートに分かれているのでパート内での仲間意識がとても強いと思います。

田川:それはありますね。私はパートリーダーをしているので、パートの仲間や後輩がとても可愛いです(笑)。

吉川:パート内で飲み会をすることもあります。

■日本文化を教会で・・・

(2009年9月18日~24日のイタリア演奏旅行についてお聞きしました)

―イタリアへの演奏旅行について教えてください。

吉川:今回の演奏旅行はイタリアのパレストリーナポリフォニー合唱団との文化交流事業の一環で、パレストリーナにて演奏会を開催しました。来年は彼らが来日し、日伊の両方で演奏会を開くことになっています。

田川:あと、今回の旅行ではローマまで足を伸ばして、ローマ・ラ・サピエンツァ大学の合唱団とも合同演奏会を行いました。

▲演奏会を開いたバシリカ大聖堂

―合同演奏会はどんな風に行われたんですか?

吉川:流れを説明すると、最初にコンサートがあって、先にイタリアの方が持ち歌を披露し、次に僕たちが持ち歌を披露して、最後にモーツァルト作曲の「アヴェ・ヴェルム・コルプス」という宗教曲を一緒に歌いました。そのあとにレセプションという形で向こうの方と交流しました。

―持ち歌は何を歌ったんですか?

吉川:私たちが訪問したパレストリーナという町は、「教会音楽の父」と呼ばれている作曲家、ジョヴァンニ・ピエルルイジ・ダ・パレストリーナの出身地なんです。なので、そのパレストリーナの曲の中から「エレミア哀歌」という宗教曲を歌いました。

田川:あと、日本の民謡や漁師の掛け声などにお経や念仏を取り入れ、西洋音楽と融合させた曲を日本文化として披露しました。こぶしがきいているところがあったり、西洋的な「ドミソ」の和音ではなく「ドレミ」を重ねた不協和音を出したりと、西洋の方に受け入れられるか心配な部分もありました(笑)。

―あちらの方の評価はどうでしたか?

田川:司教さんは厳格なカトリック信者で宗教曲にこだわりがある方と聞いていたので不安でしたが、素晴らしいと言っていただけたのでホッとしました(笑)。

吉川:教会で念仏を歌っていいのかという不安はすごくありました。

―観光はできましたか?

田川:パレスストリーナでは作曲家の生家に行くなど、音楽に関わる観光が出来ましたね。

吉川:ローマでは教会など人々にとって身近な場所でコンサートが開かれているので、僕は音楽会に行ってきました。大規模なものではなかったのですが、イタリア人が普段慣れ親しんでいる音楽を肌で感じられて、良い経験になったと思います。

▲ローマの町並み

―旅行を終えてみての感想をお願いします。

田川:「本場」に触れるということは思った以上に大きな経験でした。

吉川:日本では教会で思いっきり歌ったりする機会もないですからね。

田川:日本人はやっぱり信仰心が薄いんですよね。彼らの生活の根底にある宗教というものが最初はなかなか分からなかったんです。でも、ちょっと歌っただけですごく響く教会の中で歌を歌って、その信仰心が少し分かった気がしました。

―ありがとうございます。

―田川さんは4年生ですが、卒業しても歌は続けられますか?

田川:このまま終わってしまうのは勿体無いので、当団のOB合唱団に入ったり声楽の先生に歌を習ったり、何らかの形で歌は続けていきたいですね。

―来年の新入生に向けて一言お願いします!

田川:知らないことの多い音楽だと思いますが、初心者で入っても練習を重ねれば必ず上手くなります。厳しいこともありますが、仲間意識が高く、非常に良い環境だと思います。

―ありがとうございました。

イタリアでの演奏会も経験し、益々深みを増していく慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団。その演奏を一度生で聴いてみるのはいかがでしょうか。

定期演奏会の詳細は以下の通りです!

【参考】

慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 HP
http://www.wagner-society.org/

◇「慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団 第134回定期演奏会」詳細
【日時・会場】2009年11月28日16:00開場17:00開演 昭和女子大学人見記念講堂

【曲目】
 第1ステージ: 男声合唱組曲「柳河風俗詩」
 第2ステージ: 無伴奏男声合唱のための 「わたしはカメレオン」
 第3ステージ: 「エレミア哀歌」
 第4ステージ: 歌劇 「タンホイザー」 より

【チケット】S席<指定> 2,000円 A席<指定> 1,500円 B席<自由> 1,000円

【チケットのお問い合わせ先】
 慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団
 築城雄介 TEL:090-5304-2763 e-mail:b.f.m-99.99@docomo.ne.jp

取材:田口純子、安田ひろみ