探偵!慶應スクープ # 18 [08/11/26]

塾監局ってなんだ?

あなたは「慶應義塾 塾監局」というものを知っているだろうか。
三田キャンパスに通う塾生であれば、そういう名前の建物があるということくらいは知っているかもしれない。

しかし、一体何をしているところなのか、疑問に思ったことはないだろうか。

実はこの「塾監局」、大学だけでなく一貫教育校や病院も含め、慶應義塾全体の運営を支える事務局なのだ。

あの建物だけで慶應全体をまとめているのだろうか?疑問に思った我々ジャーナル編集部は、塾監局の関口一材総務部長にお話を伺った。

■慶應の法人運営部門

▲慶應の組織図。左上にある赤い線を引いた部分が塾監局である。

―塾監局の概要について教えてください。
まず、建物としての塾監局と組織としての塾監局というのは、名称は同じであるけれども、違うものです。
昔はこの塾監局という建物一つで、組織としての塾監局がするべき慶應の全ての事務を賄えた時代もあったのではないかと思いますが、慶應の規模がどんどん大きくなってくると、その分人も増え、やらなければいけない仕事も多くなります。そのため現在ではとてもこの建物だけでは収まりきらないので、組織として塾監局という仕組みの中に入っていても、この建物とは地理的に別の場所にあるものも多いです。また、昔は塾監局の他に違う局もあったのですが、途中から事務組織全体が塾監局の中に入るようになって、それが現在の形に繋がっています。

―では塾監局の建物の中にはどのような部署が入っているのでしょうか。
総務部、人事部、経理部、管財部といった部署です。別の場所にあるもので一番大きいのは恐らく学事センターで、規定としては塾監局の中にあるけれども、三田キャンパスの中でも別の建物にある。それに各キャンパスにもありますよね。
各キャンパスの事務センター・事務室は塾監局の分局という形になります。病院のある信濃町キャンパスも規定上は塾監局職制に入ります。さらに、人事、総務など法人系の仕事は各キャンパス内でそれぞれ発生するので、どこのキャンパスにもそれらの部門があります。それから信濃町は組織が大きいので、個別に人事部が置いてあります。

―塾監局は法人運営の部門ということでしょうか。
大きく見れば塾監局が法人運営部門、大学が教学部門ということになり、どういう会社にも共通している人事や経理の部分について、慶應では塾監局がやっていると言えます。法人系の本部が塾監局に集まっていて、学部・大学院を含む大学の特有の部門である教学部門が大学側と考えてもらえば良いでしょう。
しかし、学事センターは大学特有の部門であっても塾監局の中にあったり、学生総合センターは教学部門として大学側に属しているなどの場合もあります。

―学事センターのような部署はどの大学でも事務部門の中にあるのでしょうか。
慶應では事務部門でトップは職員、早稲田では教学部門でトップは教授というように大学ごとに違います。これは伝統的なものですね。逆に学生総合センターは教員組織を持っているので、教授がトップでその下に事務部門のトップがいる形になります。学生総合センターは課外活動などでの学生への指導という面をかなり強く持っているので、そういう意味で教員が関わる度合いが大きい。比べて学事は学籍や成績の処理など、アカデミックな部分の事務処理という位置付けです。

―事務部門と教学部門がかなり近い場合もあるということですね。
通常の業務でも、事務部門の人事や経理が法人系の人事や経理だけをやるということではなくて、もちろん教学部門のそれも担当しています。

■少数精鋭

―どのくらいの人数がいらっしゃるんですか?
慶應には全体で5300人くらいの教職員がいるけれども、その中で私たちのような専任職員は900人もいないですね。数としては病院の看護師さんがかなり多くて、1000人単位でいます。
最近は有期の職員も増えてきているから、どこまでカウントするかでも数は変わってきます。

―専任職員の方も慶應病院で勤務してらっしゃるんですか?
それはもちろんあります。慶應全体の中での異動なので。医師や看護師の仕事は当然できないけれども、病院に必要な業務を担当しています。
ちなみに異動の中で地理的に一番遠いのはニューヨーク学院ですね。私自身も6年間行っていました。

―ではこの建物にいる人数というのはそんなに多くないんですね。
大学は企業と違って「働けば働くほどお金が入ってくる」という営業のような部門がないので、病院を除いてはほとんどすべての部門が直接的に利益を創出しないコストセンターなんですね。
逆に利益を生み出すプロフィットセンターとして機能し得るのは病院しかない。大学病院というのは一般の病院と違って診療だけに特化できないので、必ずしも利益を出せるわけではないですが。
コストセンターというのは出来るだけ少ない人数で効率良くやるものなので、法人系はそんなに多くないですね。

■世の中の変化に対応

―職員の方は、どういうきっかけで慶應に就職した方が多いんですか?
あなたたちのような大学生が志願するようになったのはここ20年くらいです。公務員と同じような感覚で受ける人もいます。応募者は非常に増えてきましたが、採用している人数はそんなに多くなくて、特に男性は少ないですね。
昔は縁故採用というか、募集しても来てくれなかったから、学生時代からサークルなどで学生総合センターに関わりがあった人に受けてもらうなどの人の繋がりで採っていました。でも、いつからか世の中が変わったんですね。

―応募する人はどんな人が多いんでしょうか。
昔は高卒や短大卒の人が多かったのですが、今は大卒や院卒の人が多くなってきてますね。それも慶應の大学院というわけではなくて、いろんな大学の大学院から応募があります。

―なぜ大卒や院卒が増えてきたのでしょうか。
仕事の内容が単純な事務作業ではなくなってきているからです。
例えば国際交流でも海外の大学の担当者というのは大体マスターとかPh.Dなので、そういう人たちと関わっていくために教養や知識が必要というのがありますね。それ以外でも、いろんな研究の申請書を教員と作成し、文部科学省に提出するというような業務でも教養や知識が必要とされているというのがあります。
慶應では新卒で院卒の人を採用するだけでなく、海外留学や国内の大学院で学ぶなど採用後に人を育てていくという方法も採っています。

▲三田キャンパス正門側から。メディアセンターの奥に見えるのが塾監局。

■世界へ向けて

―お仕事をされる上でのやりがいはどんなことですか?
どの部署でも言えるのは仕事をきちんとやりきったときの達成感だと思いますが、やっぱりそれぞれの部署によって面白みも違うと思います。それに私のいる総務部はあんまり面白がって仕事しちゃいけない部署ですからね(笑)。

―では最後に、慶應の今後の展望について教えてください。
“オープン”と”グローバル”というのがキーワードですね。
学生にしても日本国内の学生だけではなく、海外の優秀な学生をいかに獲得するかという競争がすでに始まっています。 それをやるには資金的な面など準備も必要なので、財政の健全化を図って体力をつけた上で、世界の大学と渡り合っていくことが大切だと思いますね。
大学はやはり人を育てる場所なので、世界にも羽ばたいてくれる人たちを育てたいというのがあります。そのために出来ることを日々着々とこなしていくのが私たちの仕事です。

―ありがとうございました。

取材:内田彬浩、酒井万里恵