【イベントレポート】50年ぶりの決戦!秋の早慶優勝決定戦!
半世紀越しの熱戦がついに行われた。
ドラフト1位指名投手を3名擁す早稲田に対して、慶應義塾野球部が土壇場で2連勝を挙げる快挙をなし、ついに臨んだ2010年秋季六大学野球優勝決定戦。
50年前に伝説的な「早慶6連戦」を繰り広げて以来、初となる早慶による優勝決定戦は、両者の意地と魂がぶつかり合う好ゲームとなった。
試合前日からチケットを並ぶ人間が出るほど大きな注目を浴びた本決戦。![]()
試合開始1時間前には既に外野席も含めてほぼ満員状態となった。
両校共に応援には力を入れていたが、特に早稲田サイドのスタンドからは試合前とは思えない程、激しい応援が聞こえてくる。
試合初回は、早稲田側一挙3得点に始まり、復調した斉藤投手の好投により慶應打線は完全に封じられてしまう。
直前の2試合ではいずれも慶應が初回に先制点を挙げていただけに嫌な予感がよぎる。
試合開始75分前の場内
その後も慶應は先発竹内大投手の3回降板し、継投した田中宏、福谷両投手が5回にヒットを浴びるなどで、1点を失う。
味方の援護を受け、5回裏の斉藤はピッチングがますます冴え、慶應打線は三者凡退に終わる。
守備の時間は慶應が明らかに長く、勢いは誰が見ても早稲田側に傾いていた。
押せ押せムードそのままに、早稲田は6回に4番山田のレフト前ヒットなどで満塁となり、6番杉山が右中間を破る2点タイムリーヒットを放つ。
6回裏は福谷の代打で出た奥橋が追い込まれた後もファウルなどで粘った結果、デッドボールを受け出塁する。![]()
その後わずかに斉藤が制球を乱したように見え、反撃のチャンスかと思ったが、慶應側は勢い余って惜しくもダブルプレーとなってしまう。
7回表にも早稲田は、センター前で出塁した土生をバントで送り、3番宇高がタイムリーヒットを放つというテンポの良い攻撃で1点を追加する。
ここまでスコアは7-0。
圧倒的不利な状況に立たされた慶應は、優勝決定戦という舞台で斉藤のノーヒットノーラン達成を許してしまうように思われた。
早稲田の攻撃を食い止めるクロスプレー
しかしながら、8回の裏。
ここでいよいよ慶應側大反撃ののろしが上がる。
先頭打者が早稲田のエラーで出塁した後、続くバッターがランナーを2塁に進めたのだ。
絶体絶命であった慶應スタンドとしては、何でも良いから奮闘する選手を鼓舞したい一心であり、このチャンスで一気に応援が息を吹き返す。![]()
さらには途中出場した松本和が、ファウルフライを打ち上げてしまうも、相手方エラーに助けられた後、三遊間を抜く強烈なヒットを放つ。
その後、奥橋がファーストの頭上を超えるヒットでついに慶應が1点を返す!
慶應スタンドは「若き血」を大合唱し、早稲田との得点差も忘れ大興奮であった。
それからもまだまだ慶應の攻撃は終わらず、1番渕上、2番湯本という副将、主将の二人が味方の想いをつなぎ、外野に運ぶヒットを連続して繰り出す。 主将、執念の一打
スコアが7-3となって、スクイズが失敗し三塁ランナーがアウトとなるが、それでもあわやホームランという大ファウルも飛び出す。
あの無敵と思われた斉藤に攻撃が合って、さらには続く4番の伊藤にもセンターフェンス直撃の三塁打が出る。
これでスコアは7-5の2点差。![]()
もはやスタンドでは知り合いかどうかなど関係なく、応援者同士が歓喜の余り立ち上がって抱き合う姿が見られた。
そこで早稲田はようやくピッチャー交代となり、同じくドラフト1位指名を受けた大石がランナー3塁というピンチを引き継ぐ。
完全に慶應ペースだと思われた中での起用だったが、大石は極めて伸びのある球で続く打者を三振に押さえ、長かった8回裏がついに終了した。
早稲田が見事な継投を見せた後、9回表にはこれでもかと言わんばかりに早稲田が最後の猛攻をする。
喜びに沸く観客
慶應は野手をピッチャーに出してツーアウトを取るも、早稲田の絶対優勝するのだという想いの込もった攻撃を押さえられず、3点を追加され、そのままゲームセットとなった。
今回の試合を通じて、あらためて野球の試合では技術力の高さだけでなく、応援に基づいた”勢い”が重要であると感じた。
初回が始まる前からの早稲田の声援は、早稲田の選手にきっと届いたはずであるし、大きな力になったことだろう。
また、負けムードが濃厚であっても、慶應サイドは最後まで選手に望みを託し、決して球場を去ったりはしなかった。
それゆえ、8回裏の4年生選手が懸命につないだ攻撃は、決して単なる偶然の産物ではないはずだ。
並々ならぬ練習と、それを引き出す球場内の統一感が合わさって、あの攻撃を呼び込んだと信じる。
これからも野球が日本から消え去らない限り、早慶戦の伝統は受け継がれていくことだろうが、早稲田の応援が常に慶應の応援に勝るという負の伝統だけは改めたいものだ。
今回の熱戦は50年に一度という歴史的な名戦だったが、来年春の通常の早慶戦でも、早稲田の応援にひけを取らない応援で野球部を後押ししたい。