第22回スポーツキャンパス 慶應野球部&野球少年交流イベント開催
六大学野球において、春には優勝を成し遂げ、秋には優勝決定戦にまでもつれこむ大熱戦を繰り広げた慶應義塾体育会野球部。いま非常にホットな彼らが、SMRG(記事注参照)との共同企画で地元少年野球チームとの交流会を実施。150名に及ぶ子供たちから「大学野球」「慶應義塾」への関心を呼び込んだ。
本イベントは、SFCの学生団体であるSMRG(※)が、野球を通じて子供と大学生が相互学習できる場を設けようと発案したもの。趣旨に賛同した野球部側からは、自主的に73名の選手が参加した(代表者インタビューはページ下部へ)。
今回まず始めに気になったことは、子供たちが皆同じ野球帽を装着していたことだ。聞くと、これは企業協賛によって150名全員にプレゼントされたものだという。いずれのキャップもつばが好みの角度に曲げられていることから、もらった帽子に対する愛着度が伝わってきた。
また、集まった子供の中には、「野球少年」だけでなく「野球少女」も少なからず見られた。成長するにつれ男女で体格の差が生まれたり、女子が野球をプレイしやすい環境が減っていくのも事実だが、今回のようなイベントを通じて心から野球が好きな少女が増え、今後も野球に対する気持ちを失わないでくれれば良いなと思った。
それではここで、イベントのメイン企画を紹介する。
大きく分けて内容は以下の3つである。
①ポジション別練習指導
②ベースランニング大会
③保護者向け食育講座(※協賛企業による特別講演)
SMRG企画責任者の柏木裕希さん(環1年)によると、当初は上記3つに加え、大学生と子供たちを交えた練習試合も予定していたそうだが、時間の都合上残念ながらカットしたとのことである。
ポジション別練習指導
投手、捕手、内野手、外野手の4グループに分かれ、各ポジションの魅力やテクニックを野球部員から子供たちにレクチャーしていた。
内外野はノックやフライの捕球(手投げ形式のアメリカンノック)を実践するのがメインで、子供たちが懸命にノックを呼ぶ姿が見られた。
また、キャッチャー練習においては、ショートバウンドの捕り方や送球のモーションなどを一つ一つ丁寧に指導して いた。「ボールを受け止める時は、好きな女の子を扱うように」など、興味深い例えを盛り込んでおり、聞いているだけでも楽しい内容であった。 ![]()
本イベント参加前は、野球部員は普段過酷な練習を行っているため何事にもシビアだというイメージを抱いていたが、いずれの練習においても子供たちにとって接しやすい「身近なお兄ちゃん」的な存在に映った。
※下半身を鍛えるべく、四股(しこ)を踏み中
ベースランニング大会
元々の所属チームは関係なく、野球部員と子供たちの混合グループが8つ作られ、トーナメント形式で足の速さを競うもの。
こちらも事前にレクチャーがあり、「倒れるくらい体を傾けてベースを回ろう」など、様々なランニングテクニックが紹介されていた。
いざ勝負が始まると、見事な走塁で前のランナーを抜く子、気持ちが先走ってつまづき転倒する子、追い抜かれまいと死にそうな形相で走る子などがおり、子供たちの強い想いが伝わる白熱したゲームになった。
一方、野球部員は走りながら観客とハイタッチしたり、(ヘッド)スライディングしたり、時には背走したり、面白い動きをしたりと、大いに場を湧かせていた。
単調で辛いベースランニングとは一線を画しており、傍で見ていて参加者が羨ましくもなった。
この後、優勝チームの表彰がなされ、閉会式が行われてメンバーは解散となった。
そこで、最後に野球部・SMRGの代表者インタビューを紹介して締め括ることにする。
慶應義塾体育会野球部主将 伊藤 隼太選手(環3年)
―子供たちにとってこのような野球教室は魅力的でしょうが、野球部側でも何か得られるものはありますか?
ありますね。これまで感覚的に行っていた動きが、言葉で表現することによって意識化され、より確信を持ってプレイできるんです。また、小学生への説明の伝わり具合を見ることで、最も簡潔で分かりやすいプレイを考えるきっかけにもなります。
―伊藤さんも最近打撃フォームを変えているそうですね。
はい。これまでは反動を付けて打つスタイルだったのですが、それを改めて、体の中で体重移動が出来るようにしています。目標は「振らずして打つ」、ということですね。
―それでは六大学野球において、ご自身が今後目標とする成績は?
これまで1シーズンのHR数が2本、3本と増えてきているので、今年の春はHRを4本狙いたいです。また、打率は4割、打点は10本台後半を目指します。
―ありがとうございました。
慶應義塾体育会野球部企画代表 武本 大樹選手(総4年)
―今回特に力を入れた点は?
2年前にもSMRGの方と共同で野球教室を開いたのですが、その時は野球部員があまり集まらなくて寂しい思いをしました。参加部員が少ないと、子供たちに密な指導も出来ませんし、盛り上がりに欠けてしまうので、今回は選手にも楽しんでもらえるようなメニューにしました。おかげで、強制ではなく自主的に73名の部員が集まってくれ、感謝しています。
―慶應野球部は普段もこのように和気あいあいとしているのですか?
真剣に練習する時はもちろん本気で頑張りますが、基本的にみな仲が良いですね。
―本イベントの意義についてはどうお考えですか?
今やっている大学野球の原点が、こうした少年野球の場にあるので、それらを振り返り初心に戻れるということですね。そして逆に、子供たちにも大学野球というものに対する夢や憧れを感じてもらえたら良いなと思います。
―今日参加した子供たちに伝えたいことは?
甲子園を目指すのはもちろん良いけれど、その先にある神宮にも是非とも挑戦して欲しいです。あとは、野球以外に勉強も忘れず、大学生になったとき慶應野球部へ入ってくれたら嬉しいですね。
―ありがとうございました。
SMRG企画責任者 柏木裕希さん(環1)
―今回最も苦労した点は?
SMRGの他のスタッフと協力して広報や渉外、企画の策定を行っていたのですが、僕が関わったことの中では、関係団体との日程調整が難しかったです。出来るだけ多くの団体に参加してもらうために、日程をいろいろと模索しましたね。
―SMRGに所属し、こうしたイベントを企画したきっかけは何ですか?
僕は高校時代からスポーツビジネスに興味があったんです。それで、スポーツの発展に貢献できるような経験を積みたいと思い、SMRGに入りました。
―今回のイベントで得られたものは何ですか?
社会人の方とのコミュニケーションの中で自分に足りないものに気付けたこと、そして何よりも子供たちの喜ぶ顔を見られたことが一番大きな収穫ですね。
―ありがとうございます。今日までの準備、お疲れさまでした。
今回のイベントを通して、子供たちの中には「大学野球」を強く意識するようになった子もいることだろう。今後もその気持ちを絶やさない為に、野球教室以外で実際に大学生が本気でプレイする様子を見る機会も増えていくと良いなと思う。